2012年12月28日金曜日

まじめほど怖ろしいものはない:等身大の日本

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●27日、中国人留学生の孫さんにとって最も深く印象に残ったものは、日本人が日常生活で見せる非常に細やかな気遣いだった。写真は歩行者優先路線。



レコードチャイナ 配信日時:2012年12月28日 5時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67898&type=0

 「恐るべき」まじめさ、中国人留学生が語る等身大の日本
―中国メディア

 2012年12月27日、日本と聞いて思い浮かべるのはにぎやかな大阪や歴史ロマンあふれる奈良、文化の香りが漂う京都、満開の桜や点在する山間の温泉などだろう。
 しかし中国人留学生の孫さんにとって最も深く印象に残ったものは、日本人が日常生活で見せる非常に細やかな気遣いだった。
 中国紙・瀋陽晩報が伝えた。

 孫さんは中国で日本の大学から送られてきた合格通知書を受け取り、その宅急便を開けて見た際、しばし呆然とした。
 こんなに重くしっかりした宅急便の封筒に入っていたのはたった一枚の薄い紙だったのだ。
 通知書が折れ曲がったりしないように、大学側は2枚の硬いボール紙を使って、非常に薄い紙の通知書を挟みこんでいた。
 もしかすると中国人はこの行為をまぬけだと感じるかもしれない。
 2枚のボール紙のために、輸送料が高くなるほか、包装にも手間がかかる。
 しかし何事も完璧を求めるのが日本人なのだ。

 孫さんは学生向けの無料コピーサービス「タダコピ」といった工夫からも日本人の節約を重んじる態度が見て取れるという。
 「タダコピ」とは、コピー用紙の裏面を広告掲載スペースとすることで、コピーサービスを利用する際にユーザーが負担する費用をなくしたサービス。裏面には、主にエンタメ関連情報やアルバイト情報、若者向け商品情報、就職関連情報が掲載されている。
 もちろん両面とも白い通常の紙を使うこともできるが、その場合は費用を払う必要がある。

 日本の電車や地下鉄は非常に発達しているが、公共バスも利用者の視点に立った設計がなされている。
 孫さんによると、電車や地下鉄といった主要な交通機関は人の流れが速く、駅にいくつも階段があるため、お年寄りは通常バスを利用する。
 バスは必ず乗客がすべて座ってから発車し、乗客もバスが停車するまで立ち上がってはいけない。
 降りる際は事前にボタンを押す。誰もボタンを押さず、バス停にも人が待っていない場合は、バスは止まらず通り過ぎるので効率的。
 運賃を支払う際は、小銭がない場合は設置されている自動両替機でお札を細かくする。
 「バス代はだいたい200円ぐらい。
 以前、クラスメートが1万円しか持っておらず、両替機で長い時間かかって両替したことがあったが、乗客たちは皆我慢強く、誰一人怒る人も文句を言う人もいなかった」
と孫さん。

 ある日、孫さんが寮の蛍光灯の交換を管理人室にお願いすると、作業員がすぐにやってきた。
 切れていない残りの蛍光管を確認すると、作業員は
 「持ってきた蛍光管の色と明るさが少し違うから、新しいものを持ってくる」
と孫さんに告げたという。
 明るさが違うといっても、じっくり見比べないと気付かない程度だったが、作業員は結局4、5往復して切れた蛍光管を交換。
 それだけでなく、ほかの蛍光管もすべて同じ色合いのものに換え、ようやく満足したように帰っていった。
 このような行き届いたサービスを行う作業員を目の当たりにした孫さんは
 「まじめほど恐ろしいものはない」
という言葉の意味を再認識したという。
(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/TF)

2012年12月21日金曜日

穏やかな気質で知られる日本人社会:「悪口まつり」でストレス発散?!

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●21日、日本語には系統だった「敬語」や「ていねい語」があるため、「浄化された優雅な言語」と考えている人も少なくない。写真は2011年8月、天津市で開かれた日本語教育関連イベントで特設された茶室。



レコードチャイナ 配信日時:2012年12月21日 11時53分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67689&type=0

穏やかな気質で知られる日本人社会、
「悪口まつり」でストレス発散?!―中国メディア

 2012年12月21日、日本語には系統だった「敬語」や「ていねい語」があるため、「浄化された優雅な言語」と考えている人も少なくない。
 また、日本語は他人を罵る単語が少なく、日本人は罵るにしても普通「穏やかに」罵る。
 日本語には他人を侮辱するための単語が20~30個しかなく、「メンツ」を理由に使用されることがほとんどないため、時間の経過と共に「死語」になっていくとする研究もある。
 一方、西洋のある学者は、
 「実際には、日本語の中には、日本の文化環境の中で、外国人の想像をはるかに超えた『殺傷能力』を持つ単語もある」
と指摘する。
 現実の生活の中で、日本人は穏やかで上品であることで知られるが、特定の場面、例えば、悪口を言い合う「悪態まつり」などでは、日頃のストレスを思いっきり発散する。環球時報が伝えた。

世界「公認」の悪口「バカ」

 世界で最もよく知られる日本の悪口の1つは「バカ」だろう。
 「頭が弱い」や「間抜け」、「ろくでなし」と言う意味で使われる。
 関西では「バカ」の代わりに、「アホ」がよく使われる。
 語源に関しては、さまざまな説がある。
 例えばサンスクリット語で「痴、愚か」を意味するmohaの音写である「莫迦」の読みが語源とする説や、中国の歴史書「史記」の「鹿を指して馬という」の故事を語源とする説などがある。
 一方、過去において「バカ野郎」とほかの人を罵る日本人も多かったが、この言葉はすでに「時代遅れ」と見なされている。また、現在「バカ」や「アホ」は使われる場によって意味が変化し、多くの場合、親しい友人を軽く揶揄(やゆ)したり、からかったりする際に用いられるが、仕事などの正式なシーンでは、やはり侮辱する言葉と捉えられてしまう。
 日本では現在、広い意味合いがあり、さまざまなシーンで使える「変態」や「非常識」、「理解不能」などの言葉を使って、相手の知能の低さを非難し、不快な気持ちを表す傾向がある。

 日本人が用いる悪口の別の語源は文字通り不潔で醜いものだ。
 うちよく用いられるのは「ゴミ」、「くそ」、「かす」などだ。
 うち「くそ」は、「くそ野郎」、「下手くそ」などほかの言葉と組み合わせて使われることも多い。
 また、小泉純一郎元首相は反対派から「変人」と呼ばれ、「右翼政治家」と言われている日本維新の会の石原慎太郎氏は「暴走老人」と呼ばれている。
 さらに「外見」を重視する日本人は人の容姿を侮辱することも多く、女性にとっては「大根足」や「ぺちゃぱい」などの言葉はダメージが大きい。

「虫」や「魚」も軽蔑する言葉に

 日本語において、使用率、侮辱度ともに高い言葉に「けだもの」や「虫」という言葉がある。
 例えば「泣き虫」や「弱虫」などがある。
 また「雑魚」や「タコ」など、日本人が好きな魚類も軽蔑する言葉に用いられることがある。

 悪口に性的な意味の言葉が含まれる国も多いが、日本人は性的な問題に開放的な態度を示しており、あまり気にすることもない。
 長期にわたり日本で生活していた米国のある評論家は、
 「日本人にとって、性と道徳は無関係。
 そのため、性は日本語においてタブーではない」
と解説している。
 しかし、伝統的な思考を持つ日本人にとって、乱れた性生活は依然として深刻な問題だ。

 日本人にとっては、性的な意味合いを持つ悪口より、「殺す」や「踏みつぶす」、「しめる」など「死」と関係する言葉の方が語気が強く、直接的だ。
 スポーツの試合などを観戦する熱狂的なファンがよく使っている。

緒悪口を言い合う「悪態まつり」

 日本人が悪口を言うことを避けるのは、教育や教養の問題というよりは、紀律や等級観念に自分の感情を押さえ込まれているだけだと考える人もいる。
 例えば過去において、鎌倉幕府(1185~1333)が定めた武家法・「御成敗式目」には、「悪口咎事」という条文があった。
 また、第二次世界大戦に敗戦した後、社会の安定を目指す日本政府は侮辱行為を戒めるため「侮辱罪」を制定している。
 そして現在も「常識を覆した1人」となり、社会から「無声の懲罰」を受けることを恐れる日本人は、社会交流のシーンで汚い言葉を発することはほとんどない。
 ある日本社会学者は、
 「不快で、ストレスに満ちた状態でも、『言葉』を使ってそれを解消しようとする日本人は少なく、
 通常は黙り込んでにらみ付けた状態から、急に怒りを爆発させ、極端な行動に出る」
と分析している。

 一方、伝統的な日本の宗教儀式の中には、ストレスを言葉で発散するためのものもあり、集まった群衆がお互いに悪口を言い合うものまである。
 例えば、日本三大奇祭の1つ「悪態まつり」がそれにあたり、島根県や栃木県、茨城県、長野県などで、今でも行われている。
 悪口の言い合いに勝てばその年の幸運を得るとされるため、年頭に開催されることが多い。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/内山)






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「折りたたみケータイは永遠です」:スマホの時代なのに

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●20日、世の中の携帯電話事情はスマートフォンが席巻する時代になった。
 しかし、このほど“中国版ツイッター”と呼ばれる簡易投稿サイトで、「日本の折りたたみ式ケータイが好きだ」という声が思いのほか多く寄せられた。
 写真は中国国内。日本企業の携帯電話の街頭広告。



レコードチャイナ 配信日時:2012年12月21日 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67668&type=0

このスマホ時代に…日本の折りたたみ式ケータイが愛されている驚き―中国版ツイッター

 2012年12月20日、世の中の携帯電話事情はすっかりスマートフォンが席巻する時代になった。
 いわゆる
 “ガラパゴス携帯”と呼ばれる従来式の携帯電話
すっかりなりをひそめてしまっており、もはや風前のともしびのように見える。

 しかし、このほど“中国版ツイッター”と呼ばれる簡易投稿サイトで、
 「いわゆる日本風のケータイ、みんなは好きかな?」
という問いかけが行われると、意外なことに「あの折り畳み式のケータイが好きだ」というコメントが多数寄せられ、日本デザインの愛好者が思いのほかいることに気づかされた。
 この呼びかけは、最新の日本カルチャーを紹介している某雑誌の公式アカウントが行ったもので、中国国内の“日本ダイスキ”な人々がフォロワーになっていると考えられる。
以下、寄せられた主な意見。

●.「折りたたみ式が好きだ」
●.「折りたたみ式は傑作」
●.「折りたたみ式は永遠に最愛のプロダクト」

●.「日本製品のコアなファンです。
 折りたたみ式、ほとんどなくなっちゃったよね…」
●.「ずっと前から折りたたみ式が好き。
 ていうか、今もがんばって使い続けてるから!」

●.「日本風のケータイと言えば、あの細長い折りたたみ式のものだよね。
 買ったことあるよ。
 今はディスプレイの大きなタッチパネル式が普及して、以前ほど好きだとは思わなくなったけど」
●.「昔の折りたたみ式も今のタッチパネル式も、どっちもずっと好き。
 機能性と外観のよさで両立しているし、防水機能なんかも強いよ」
●.「SHARPはスゴイんだぜ」
●.「日本風のケータイは実用性に優れているとは言えないけれど、生活感があっていいな」

●.「残念ながら中国国内で販売された折りたたみ式は機能面でダメだったから、あきらめるしかなかったんだ」
●.「中国国内で販売された折りたたみ式、見た目だけは同じだったけど、機能が全然違ったよ~。
 すごくカッコイイと思ったけどな」

●.「日本人の女の子が折りたたみ式のケータイを使ってる様子ってすごいカワイイと思ってた」

●.「今は主流ではなくなってしまった日本のケータイ。
 今はサムスンやHTCのOEMに見えちゃう。
 日本の電化製品は没落かな…」




【ファジイ集合体国家】



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2012年12月20日木曜日

キリスト教、イスラム教、「無宗教」が世界の第3勢力:うち6割以上が中国人

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ロイター 2012年 12月 19日 15:08 JST
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPTYE8BI02P20121219

「無宗教」が世界の第3勢力、
日本では人口の半数占める=調査

[18日 ロイター] 調査機関ピュー・リサーチ・センターが18日発表した世界の宗教動向に関する調査で、キリスト教、イスラム教に続き、「無宗教」の人口が3番目に多いことが分かった。

 同機関は調査に当たり、2010年の各国国勢調査や登録人口などの調査資料約2500件を分析。
 その結果、
 キリスト教徒が世界人口の31.5%に当たる約22億人と最も多く、世界のあらゆる地域に広く分布していた。
 2番目に多かったのはイスラム教の約16億人で、全人口の23%だった。
 また、確立された宗教を信仰しない「無宗教」の人口は約11億人で、
 そのうち6割以上が中国に住んでいることも分かった。

 日本は人口の半数以上に当たる約7200万人が無宗教で、中国の次に多かった
 ただ、無宗教とされる人たちの多くが何らかの精神的な信仰を持っていることも指摘されている。

 また調査は、イスラム教とヒンズー教信者が増加する見通しを示す一方で、
 ユダヤ教徒はその見込みが最も低いとしている。




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史上最低の選挙:最大のテーマは民主党の進退

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JB Press 2012.12.17(月)  筆坂 秀世:
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36766

本当に勝った政党はなかった
自民党圧勝の要因は何だったのか

 自民党が圧勝し、自公の政権復帰が決まった。
 が今回の選挙戦で本当に勝った政党はあったのだろうか。

 前回のコラムで私は「悩ましい選挙」だと書いた。
 政党の数は多いが、投票したいと思う政党がなかったからだ。
 だがそれでも、もちろん投票はした。
 だが少なくない有権者は投票そのものを拒否した。

 これで選挙は成立するのかと言いたくなるような低い投票率がそれを物語っている。
 この投票率は、すべての政党への不信任と同じ意味を持っている。

 いま日本は、様々な難問に直面している。
 3.11大震災と原発事故と遅れる復旧・復興、長く続くデフレ経済、若年層を中心とした高い失業率と不安定雇用、先行きが見えない年金など社会保障制度、尖閣諸島の国有化と中国との関係悪化、北朝鮮の大陸間弾道弾ミサイルの発射実験、TPP問題・・・。

 どれもが国民の生活や日本の進路にとって、ゆるがせにできない問題である。
 それでも有権者は投票に行かなかった。
 政治に絶望しているからだ。
 民主党政権の失敗にはこりごりだが、だが3年余前までの自民党政治の復活で日本が良くなるとは思っていないからだ。
 すべての政党が、この低投票率を深刻に受け止めるべきである。

史上最低の選挙だった

 今度の選挙で一体何が争点になったのだろうか。
 それぞれの党がそれぞれに訴えを行ってきたが、いずれかの問題が大争点になったというものはない。
 脱原発や卒原発も自民党を除けば大して変わりのない主張が、他のすべての政党によって繰り広げられただけだ。
 「卒原発」などというのは、脱原発の言葉遊びに過ぎない
 これでは争点になるわけがない。

 上記の重要課題を見ても、そもそも大きな対決点はなかった。
 せいぜい経済政策で自民党の金融緩和論と公共事業増大路線ぐらいのものだ。
 社会保障制度も違いはあるのだが、何十年も先の話であって、何がどう違うのか、国民には分からない。

 要するに、それぞれの党が他党を批判し、「わが党ならできる」と訴えただけであった。
 政党の体をなしていない党も含めて、12もの政党が乱立したが、争点なき総選挙だったのである。
 これでは選挙に行きたくなくなるもの当然ではないか。

最大のテーマは民主党の進退

 では何が争われたのか。
 答えは簡単だ。
 民主党には政権をまかせられない、という国民の意思を示すことであった。
 民主党の中には、野田首相が解散表明をした際、中山義活氏(東京2区選出、鳩山首相時代の首相補佐官)のように、「解散するならば総理自らがここは誰かに代わって、皆が納得する人がやっぱり『総裁』としてやるべきだと私は思いますね」いう輩もいた。
 中山氏が想定しているのは、代表戦出馬を促した細野豪志現政調会長である。
 ちなみに党の代表を「総裁」というのは自民党であり、民主党では「代表」という。

 震災復旧、復興の仕事を途中で放り投げた細野氏を首相にすれば民主党が勝てたとでも思っているのか。
 民主党議員がいかに国民の思いから遊離しているかを物語っている。

 中山氏が補佐官を務めた鳩山首相がどれほど民主党への信頼を打ち壊してしまったか、後を継いだ菅首相がどれほど民主党政権の駄目さ加減を国民の心に刻印したか、考えてみればよい。
 鳩山氏は引退に追い込まれ、菅氏は小選挙区で敗北した。
 誰が代表・首相になっても、民主党が浮かび上がれる要素はなくなっていたのだ。

 民主党内では、またぞろ野田首相の代表辞任論ががあがっているようだが、こんな議論をしているようでは再生の道はなくなる。
 民主党政権の失敗をしっかり総括すること。さらには党のあり方そのものを根本から見直すことだ。
 その第一歩が党綱領をしっかり議論して、どういう政党なのか、どういう政治を目指すのか、どういう日本を目指すのかを明確にすることだ。
 そうでなければ自民党と戦えないことを知るべきである。

自民党圧勝の最大の要因――小選挙区制を見直すべき

 自民党圧勝の最大の要因は、言うまでもなく小選挙区制にある。
 選挙区によっては、半数以上が死票になる小選挙区制度は、民意の反映には程遠い選挙制度である。
 3割、4割の得票で議席を独占できるこの制度は、あまりにも日本の政治を不安定化させることになる。

 確かに民主党政権はひどかった。
 だがこれほどまでに劇的に議席数を変えてしまうほどの大失政があったのだろうか。
 普天間問題は自民党時代からの懸案であり、自民党時代も進捗しなかった。
 鳩山首相の羽毛のように軽い公約が問題をこじらせたが、自民党政権になっても簡単に解決はしないだろう。
 消費税増税は民自公でやったことだ。

 領土問題は、すべて自民党時代からのツケである。
 デフレも、高い失業率も同じだ。

 自民党の支持率が急激に上がったわけではない。
 民主党が下げただけのことである。選
 挙のたびに政権交代が起こるような仕組みは、政治を不安定化させるだけである。
 あまりにも選挙制度が悪すぎる。
 政治の安定化のためにも、中選挙区制度に戻すことを強く求めたい。

石原慎太郎氏に目茶苦茶にされた維新

 橋下徹大阪市長がなぜ石原慎太郎氏と組んだのか、不思議でならない。
 石原氏は、そもそも組織運営などできない人間だ。
 だからこそ自民党議員時代も総裁・首相を目指したが、届かなかった。

 石原氏を代表に担いだために、維新の会の政権公約は、わけのわからないものになってしまった。
 例えば原発では、「2030年代にフェードアウトする」と言っていたのに対し、石原氏は「暴論に近い」と否定、橋下氏もこれに同調して「公約ではない」と言い出す始末であった。

 自民党との連立についても、石原氏は「組めると思う」と乗り気なのに対し、幹事長の松井一郎大阪府知事は、即座に「全くない」と否定している。

 自虐的に「暴走老人」と言っているが、到底政党のトップとは思えない無責任さである。
 減税日本との連立話の時もそうだったが、後先を考えずにただ「暴走」を繰り返すだけのトップに維新のメンバーはどこまで付き従っていけるのか。
 この党も選挙後、一枚岩とはいかないのではないかという予感がする。

未来どころか泡と消える未来の党

 予想通り大惨敗を喫した日本未来の党も憐れと言うしかない。
 そもそも選挙の数日前に政党を立ち上げるなどというほど、無責任なものはない。
 小沢一郎氏とともに民主党を出た大半が落選ということだ。
 未来の党のプロパーの候補者がどれだけいるのか知らないが、これはおそらくゼロに近いということであろう。

 そもそも政党としての綱領も規約も持たないのが、この党である。
 小沢一郎氏らの国民の生活が第一が合流したのも、国民の生活が第一では選挙を戦えないからであった。
 減税日本もそうだ。
 まさに寄せ集めである。露と消えるのは必至である。

小沢一郎氏の大誤算

 はっきり言って小沢氏は民主党から逃げ出した。
 だからと言って、国民が支持するとでも思ったのだろうか。
 反消費税増税、脱原発で「国民の生活が第一」と言えば、支持されるとでも思ったのだろうか。

 まったく分かっていないと言うしかない。
 民主党政権を作ったのは誰だったのか。
 小沢氏である。
 鳩山政権を支えていたのは、幹事長だった小沢氏である。
 民主党政権の失敗の最大の戦犯は、小沢一郎その人であった。
 その小沢氏が民主党を離党したからといって、国民が拍手喝采するわけがないではないか。
 国民の目に映ったのは、無責任な政治家小沢という姿だったのだ。

 小沢氏の誤算の1つは、自らが民主党幹事長時代に作った「国民の生活が第一」というスローガンに拘泥したことだ。
 確かに民主党が自民党から政権を奪還するときには、このスローガンは力を発揮したかもしれない。
 実際には、「政権交代」というスローガンが一番力を発揮したと思うが。

 だがその民主党政権が失敗したのである。
 もはや「国民の生活が第一」などと言っても、信用されるはずがないではないか。
 ところが相変わらず消費税増税反対、脱原発という国民が喜ぶであろうスローガンをメインに持ってきた。
 いわゆるポピュリズム的スローガンである。
 だがポピュリズム的スローガンが国民に受けるというわけではない、ということを小沢氏は知らなかったようだ。
 しかも「嫌われ者」小沢氏に、実に向かないスローガンだ。

 『文芸春秋』の2013年新年号に興味深い論稿が掲載されている。
 評論家・中野剛志氏の
 「『反ポピュリズム』というポピュリズム」
という論稿だ。
 渡邊恒雄著『反ポピュリズム論』を批判したものだが、
 要するに今一番のポピュリズムは「反ポピュリズム」だ
というのが、この論稿の一番強調していることだ。

 例えば次のように言う。
 「ポピュリストの政治家たちは、『私は大衆受けしない政策であっても、敢えて断行するのだ』と勇ましく宣言してみせ国家予算に群がる利権集団や大衆迎合的な政治家といった敵役を仕立てて戦ってみせることで、大衆の人気を得るのである。
 小泉劇場しかり、事業仕分けしかり、大阪維新しかり」。

 小沢氏の『日本改造計画』(講談社)は、言ってみれば「反ポピュリズム」の本であった。
 だからこそ変化や改革を期待して、本はベストセラーになり、剛腕小沢氏への期待も高まったのである。
 ちなみにこの本では消費税率の10%への引き上げを提案していた。
 その小沢氏が、反消費税、脱原発で支持を得られるわけがない。
 ポピュリズムの罠にはまったとしか言いようがない。

共産党よ、長い歴史は自慢できない

 共産党が低迷状態に陥って久しい。
 今回もまた299小選挙区に候補者を立て、倍増の18議席を目指すという無謀な目標を立てた。
 おそらく目標を決めた当事者も含めて、実現可能性を信じていたものは1人もいないであろう。
 私には、半ばやけくそになっているのではないかと思えたくらいだ。

 志位委員長は、相変わらず今年党創立90周年を迎えたことを「日本の政党で一番長い歴史を持つ政党」と自慢している。
 政党は、その歴史が長ければ長いほど尊いのか。
 そうではないはずだ。何を成し遂げたかである。

 共産党は、確かに長い歴史を持っている。
 だが目標としてきた社会主義革命は近づくどころか、遠ざかっている。
 その前段階の資本主義の枠内での民主的改革すら、まるで実現の可能性は見通せない。

 これまでの歴史の中で、この共産党の綱領や主張を信じて、献身的に、自己犠牲的に尽くしてきたであろうか。
 いまも寒風吹きすさぶ中、ビラをまき、支持を訴えている党員や後援会員がいることであろう。
 わずかの収入の中から党費を払い、カンパをしている党員や支持者によって、共産党は支えられている。

 だが90年間、期待に応えられずにきてしまったのである。
 党員の多くが中高年の同党に、革命など起こせるわけがないではないか。
 この深刻な反省こそ、いま同党に求められている。





【ファジイ集合体国家】



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2012年12月19日水曜日

日本人の過半数、「男は外、女は内」を支持:東日本大震災の影響による

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レコードチャイナ 配信日時:2012年12月19日 3時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67581&type=0

日本人の過半数、「男は外、女は内」を支持―中国メディア

 2012年12月15日、日本内閣府が発表した「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果によると、
 「男は外で仕事をし、女は家庭を守るべきだ」
という考え方に賛成する日本人が5割以上に達していることが明らかになった。
 新華社が伝えた。

 内閣府は今年10月、20歳以上の男女5000人を対象に、家庭における夫婦の役割分担をめぐる問題について調査を実施した。
 調査の60.7%は、個別面談方式で進められた。

 調査の結果、「女性は家庭にとどまり家事や育児に専念し、男性は外に出て働くべき」という伝統的な考え方に賛成する人は、回答者全体の51.6%に達し、同調査がスタートした1992年以来、初めて増加傾向を呈した。

 この考え方に反対を示した人の割合は45.1%で、2009年比10ポイント低下した。
 また、社会における男女平等について、「男性の方が優遇されている」と答えた人は69.8%、「男女は平等」とした人は24.6%だった。

 内閣府によると、家庭に関する問題をめぐる日本人の考え方の変化は、
 東日本大震災の影響による
との回答もあったという。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/内山)

2012年12月8日土曜日

日本がノーベル賞・フィールズ賞受賞で中国・韓国を圧倒している歴史的背景

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JB PRESS 2012.12.04(火)  川嶋 諭:
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36491

日本が中国・韓国より決定的に優れているわけ
ノーベル賞・フィールズ賞受賞で圧倒している歴史的背景

 歴史というのは、国と国民に極めて大きな影響を及ぼす。
 古くは中国文化圏の影響を強く受けながらも、日本は中国や韓国とはかなり違った文化を形成してきた。
 面白いことに、その違いの典型例が数学にあるという。

 海を1つ隔てただけで、実利的な算術の世界にとどまった社会と、純粋数学の世界へと発展していった社会に大きく分かれた。
 世界の中で日本人ほど数学が好きな国民はほとんどない。
 これは私たちが誇っていい事実であり、その背景には歴史がある。

 なぜ日本人は数学が好きになっていったのか。
 また長い年月の間に私たちの中に埋め込まれていった数学DNAをさらに強化して日本をさらに強い国にするにはどうすればいいのか。
 今回は数学を題材にした異色対談を実現した。

 サイエンスナビゲーターの桜井進さんと花まる学習会を運営する高濱正伸さんの2人である。
 ちょうど数学に関する本を出版されたのを機会に、日本人と数学について話し合ってもらった。

日本人は世界に冠たる数学大国の末裔である

川嶋:今年のノーベル賞では京都大学の山中伸弥教授が医学生理学賞を受賞して、日本中が盛り上がりました。
 理科学系でこれまで日本人は15人(米国籍の南部陽一郎氏を除く)が受賞していますが、中国人や韓国人の受賞者はゼロです。

 こう見ると、いろいろ言われながらも日本の教育水準は世界的にもいい線を行っているのかなという気がするのですが・・・。

桜井:ノーベル賞とは別に、数学の分野にはフィールズ賞があります。
 フィールズ賞は4年に1度、しかも40歳以下という条件で一度に4人しか受賞できません。
 そして人生で1回だけです。
 天才中の天才しか取れない。

 その賞を日本人は3人が受賞しています。
 ちなみに中国、韓国はゼロです。
 つまり、ほとんどの日本人は知りませんが、日本は世界に冠たる数学大国だということです。

 しかも、日本の数学は戦後の教育で良くなったわけではない。
 江戸時代からすでに高いレベルに達していました。

高濱:その蓄積は大きいですよね。

桜井:大きいです。
 僕たちは数学大国の末裔なんです。
 なぜ数学に強いかというと、その秘密は日本語にあるのではないかと考えています。
 まず漢字が持っている力。
 漢字はアルファベットに比べて情報量が多い。
 漢字は絵ですから。

 また、俳句はなぜ五七五なのか
 僕は茶道や華道、建築などもそうですが日本文化の根底には白銀比があると考えています。
 黄金比ではなく、「白銀比」です。

 「白銀比」とは、1対√2(約1.4)です。
 直角二等辺三角形の3辺の長さの比である1対√2対1の1を5に置き換えると、
 「5・7・5」
になります。
 指折り数えることができる日本語と数の関係が非常に深いと気づいたんです。

 松尾芭蕉の「しずかさや いわにしみいる せみのこえ」は1字1字数えることができます。
 「This is a pen」は指折り数えられない。
 母国語が数えられる言語だということが、日本の整数論が世界一である根本にあるのかもしれないということです。

川嶋:同じ漢字文化でも中国とは違うわけですか。

桜井:中国語と違って日本語には「音」読み以外に「訓」読みがありますからね。
 日本は数学も宗教も中国から持ってきて、全部カスタマイズしました。
 数学書も遣唐使の持ち帰った本の中に少し混ざっていて、それを一生懸命読み解いて改良していった。

 例えば方程式。
 中国の方程式は変数が1つなんです。
 「x」だけの方程式を解いて中国人はそれでいいやと思っていた
 ところが、ところが、日本人は「x、y、z」と変数が複数あっても解けるようにした。

 なぜかというと、中国は役に立つか立たないかの1点だけ、極めてプラグマティックです。
 実利主義を徹底したからこそ中国文明というものができたと僕は思っています。
 ところが、日本はそういう実利を超えて、興味関心から解いていくんです。
 何かのためではなく。

 それは数学の世界では自然な流れです。
 社会に要請されてということならば「x」だけでいい。
 一方、純数学的な思考を日本人は奈良時代くらいからしているんです。

 明治時代にさらにドラスティックなことをしました。
 日本の数学である和算は江戸時代に完成し、その時点での熱狂ぶりは世界の頂点にあったと言っていい。
 明治政府も最初、日本の数学者たちに和算を教科書に使うと約束していた。

 ところが、軍事力を高めるためにはドイツのマニュアルを読まなくてはならず、そのために洋算、ヨーロッパの横書きの数学が必要になった。
 そういう軍事上の必要性から和算の廃止を決定した。

 江戸の数学者は初めみんな反対したんですが、結局は国の説得に応じてヨーロッパの数学を翻訳しました。
 しかも非常に短期間で。
 他言語の数学をそんなに迅速に自国語に翻訳するというのは数学の世界では奇跡なんですが、それができたのも和算が非常に高度だったことを裏付けています。

数学を面白がる日本人。江戸時代には一大数学ブームも

高濱:その話は非常におもしろいですね。
 我われが数学大国の末裔だということがよく分かります。
 例えば創刊50年以上になる「大学への数学」のようなマニアックな雑誌が出来上がるのもそういう土壌があるからですよね。

 それは単なるカネ儲けじゃないというか、面白さを追求している。
 日本の中学の入試問題は百花繚乱で面白い問題だらけです。
 本当に世界に冠たるものです。

桜井:中学の入試問題は面白いですよね。
 数学の問題に関連して言うと、『塵劫記』という江戸時代最大のベストセラーがあります。
 数学書ですが、一家に1冊あったと言われているほどです。

桜井:江戸時代は平和な時代で商売が発達し、計算は普通の庶民にも必要なことでした。
 その日常生活の中にある計算について、塵劫記にはたくさんの問題が載っている。
 米や俵や枡などを使った生活に密着した問題で、それが非常に高度なんです。

 その本が出たことで数学熱がさらに高まった。
 みんなが問題を解きたいと夢中になったんですね。
 将軍まで解いているんですから。
 庶民から将軍まで数学に熱狂した時代なんてどこにもない。
 日本の江戸時代後期だけです。

高濱:以前出演した「情熱大陸」というテレビ番組で紹介した中で一番評判がよかったのは、電柱の高さを葉っぱで測るというものでした。

 直角二等辺三角形の直角を作る2辺の長さは同じという定理を利用したもので、葉っぱを折り曲げて45度の角度を作り、それを利用して電柱から45度の地点を見つければ、電柱からの距離が電柱の高さに等しくなるというわけです。

 それと同じようなことが塵劫記に書かれていてビックリしたことがあります。
 塵劫記では葉っぱではなく手ぬぐいか何かを使うのですが・・・。
 葉っぱの話がウケたのも、日本人はやはり数学大国の末裔だからですね。
 日本人は元来そういうのが好きなんですよ。

子供の数学が伸び悩む背景に、孤立した母親の存在が

川嶋:我われ日本人は数学大国の末裔なのに、数学が嫌い、苦手だという人が多いのはなぜなんでしょう。

高濱:子供の数学が伸び悩む背景の1つに、母親の存在、意識があります。
 文系の母親というのは、心の底では算数や数学はつまらないものだと思っていて、言葉の端々にそれが出るんです。

 「算数なんてさっさと終わらせれば本をたっぷり読めるでしょ」
とか、そういう言い方をする。
 イヤな算数、数学は早く終わらせちゃいましょうと、子供を洗脳しているわけです。

 逆に理系の母親にも落とし穴があります。
 自分の水準が高いから、
 「なんでこんなことが分からないの」
というような言い方をして子供を算数嫌いにさせている。
 子供は楽しく算数をやっていたはずなのに、そういう大人の言葉が芽をつぶしてしまうんです。

 別にその母親はダメ親ではなく愛情に満ちているんですが、自分を客観的に見ていない。
 そして不安定で大らかになれないという状況があります。
 それは話し相手がいないからです。
 男は仕事もあるし外で評価されたりして頑張れるんですが、母親たちは孤立し、イライラしています。

高濱:本来は夫が話を聞いてあげればいいのですが、どこか食い違ってしまう。
 男は理詰めの話が好きだけれど、妻はそんなことを求めていない。
 要点だけ言ってくれ、なんていうのも嫌いです。

 女性にすれば要点だけで付き合ってどうするのと。
 女性同士の会話では要点は必要ないですからね、そういう性差があることをお互いに理解して付き合えばいいのですが、なかなか難しい。

 妻たちが「人としてどうなの」と感じている基準は、実は「人」ではなく「女性」の基準で、男には当てはまらないし、逆も真なのです。
 『夫は犬だと思えばいい。』という本では、別の生き物だという痛感と異性への想像力を持つことで、双方幸せになれるよということを書いています。



川嶋:大半の女性はいわゆる数学的なものを拒否しながら生きているということですか。

高濱:拒否というよりも、つくりが違う。
 男は論理が好きだし突き詰めたくなるけれど、女性はそうでもない。
 数学が得意な女性もいますが、数学オリンピックなどでも賞を取るのは男のほうが多い。
 男のほうが向いているということはあると思います。

 女性が数学を学ぶことの面白さ、喜びを分かれば子供たちにも絶対にいい影響がある。
 だから、母親たちを楽にすることで、結果として子供たちが生き生きとする仕組みを作りたいと取り組んでいます。

7歳の子供に数学の根源的な疑問を抱かせるサイエンスショー

桜井:僕は大学生の頃から20年間、予備校で高校生を指導してきました。
 しかし、教壇に立つたびにジレンマに襲われていたんです。
 こうやって教えて東大や東工大に入ったところで、入った途端に数学の勉強をしなくなるということが分かっているわけですから・・・。

 受験合格請負人というのも僕の本意ではなかった。
 そういうことをする塾の先生はほかにいっぱいいるわけだから、任せておけばいい。
 それで僕は塾にまで来て「勉強」することはないと生徒に話していたんです。

 そもそも君たちは「勉強」という2文字を真面目に考えたことがあるのかと。
 「勉める」ことを「強いる」と書く。
 強いられるわけです。
 僕は中学1年の時にそれに気づき、「勉強しない宣言」をしました。

 「学習」と「勉強」は雲泥の差です。
 英語には「learn」(学ぶ)と「study」(研究する)がありますが、
 勉強に相当する英単語を僕は知りません。
 要は勉強よりも学習を大切にするということです。

 「学ぶ、習う」の先にはもっとクリエイティブな高度な世界がある。
 「勉強」だけなんかしていたら絶対にクリエイトすることはできない。

 僕はインテリを育てるつもりはありません。
 職業に関係なく人間として数学を学ぶ幸せ、数学を学ぶことの面白さを知ってほしい。
 数学は私たち人間の標準装備の能力なんです。

川嶋:それで今は講演活動で数学の楽しさを教えているんですね。

桜井:サイエンスナビゲーターとして講演活動を始めたのは2000年です。
 サイエンスナビゲーターは今のところ日本に1人しかいません。
 そしてサイエンスエンターテインメントショーを繰り広げているわけです。

桜井:僕は、文系の女の子、数学嫌いの女の子の気持ちを180度転換させる、数学を大好きにさせるようなことをやりたいと思った。
 それで「数学」という言葉を使わないようにしました。

 また、小学生に講演する時には算数ではなく、数学の世界を見せます。
 しかも講演は100分。
 普通ならば小学1年生は1時間も耐えられないと思いますが、喜んで聞いている。
 映像と音楽で、映画を見ているように、時を忘れるように食い入るように見ている。

 質疑応答では、例えば小学校1年生が
 「先生、どうして足し算から勉強するんですか」
と聞いてくる。
 非常にいい質問です。

 それは世界が足し算でできているからだよと。
 掛け算も割り算もすべて足し算に集約される。
 だから足し算が一番大事だから最初に勉強するんですよと。
 そういう本質をついた質問が小学1年生から出るんです。

 見ている学校の先生や父兄はひっくり返る。
 自分の子供がそんな数学の質問をするのかと。
 それで学校の先生にはこういう話をします。
 7歳の子どもがそういう根源的な問いをするというのは当然のことです、それが人間なんですと。

 先生の中には算数の嫌いな生徒を半分バカにしたりする人もいるけれど、そういうことではいけません。
 小学生だってれっきとした理性が働く人間で、聞いたことを覚えていて考えているんです。

制度にしがみつく公教育。先生の間にも競争原理が必要

高濱:今の公教育に欠けているのは、面白さを伝えることだと私も思います。
 分かった、よっしゃと思った瞬間の快感を知っている子供は、それを中心に勝手に動き出す。

 答えが合っているかどうかだけに注目していると、結局面白くないという方向に行く。
 だから私の塾「花まる学習会」では、
 答えじゃなくて考え方が見えた瞬間こそ最高に面白いんだ
ということを伝える教育をやっています。

 公教育についてさらに言いますと、算数、数学に限らず死んだ状態です。
 仕組みを維持することに汲々として、免許制度にしがみついている。

 変革するのは簡単だと思います。
 人事制度に手をつければいいんです。
 塾の先生はほとんど教員免許を持っていないですが、親や生徒から圧倒的に信頼されています。

 なぜなら塾の先生は日々生徒の目にさらされ、生徒を魅了しなかったらアウトなので必死にやっている。
 そこが学校の先生との差ですよね。

川嶋:みんな平等を是としていて、それはいいことだと思いますが、ちょっと行き過ぎています。
 競争を避けるのは学校だけではなく、企業の中にも蔓延しています。
 医療の世界でもそのようです。
 日本の問題はすべてそこに集約されると思います。

 競争否定というのはダメですよ。
 だって競争することによってアイデアが出るのに、競争しなかったら先生たちも工夫しない。
 しかし、そういう競争は教育界ではすごく反発があるわけですね。

高濱:ええ。それで何をやるかというと、時間数を変えたり教える内容を変えたりしている。
 でも、それでは本質的なところは良くならない。
 本気でやって子どもたちを伸ばしたことが評価されるようにしないといけません。

桜井:僕は先生たちの研修もやるんですが、先生自身がもう一度、数学に感動して、数学力をバージョンアップしていってほしいですね。

世界は数学でできている。数学を伝える、使う、作るの3者が連携を

桜井:僕は今年、新しい高校数学「数学活用」の著者になりました。
 これは、師である横浜国立大教授の根上生也がリーダーとなり執筆した教科書で、来年度から本格的に全国の高校で使われます。
 それは、「人とともにある数学」を標榜したこれまでにない革新的な教科書です。

川嶋:数学は生活とかけ離れたものじゃないと。

桜井:そうです。
 1ページ目のタイトルが「世界は数学でできている」です。
 経済にしたって芸術にしたって物理学にしたって諸学問、諸芸術はみんな数学を使います。

 ヨーロッパで大学の哲学科に進むには数学が必修科目ですが、日本は経済学部に行く人でさえ数学が入試の必修科目になっていない。
 あり得ないことです。

川嶋:すべての学問の基本は数学だということですか。

桜井:学問だけではなく、世界は数学でできている。
 これが基本です。
 数学を伝える人、使う人、作る人、
 これを数学の3つの「つ」と言っているんですが、この3つがすべてこれほどたくさん存在している国は世界中で日本だけです。

 これだけ数学を伝える学校の先生がいて、数学を作る数学者がたくさんいて、これだけ数学を使って世界最高水準の製品を作る企業が日本にはある。

 ただ残念なのは、3者の連携が取れていないせいで日本人が数学大国であることをみんなが知らない。だから僕はこれからもサイエンスナビゲーターとしてその3者をつなぐ仕事をしていきたいと願っています。



高濱 正伸(たかはま・まさのぶ)
1959年熊本県生まれ。3浪で東京大学入学、4年間留年した後、同大学大学院に進み修士課程修了。現在、花まる学習会、スクールFC、数理教室アルゴを運営

桜井 進(さくらい・すすむ)
1968年山形県生まれ。東京工業大学理学部数学科および同大学大学院卒業。東京工業大学世界文明センターフェロー。サイエンスナビゲーターとして子供から年配者までが楽しめるライブショーも行っている(撮影:前田せいめい、以下同)




朝鮮日報 記事入力 : 2012/12/11 23:56
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/11/2012121103158.html

韓国の理数学力は世界トップ 「好き」は低水準

【ソウル聯合ニュース】韓国教育課程評価院は11日、国際教育到達度評価学会(IEA)が世界50カ国・地域の小学4年と中学2年を対象に実施した2011年国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果を公表した。

 小4と中2とも世界最高水準の学力を維持したが、理数学に対する興味は依然として低かった。

 韓国の小4は算数で2位、理科で1位となった。
 中2は数学が1位、理科は3位だった。
 小4は1995年調査と同水準だった。
 韓国の小4は1999年と2003年、2007年調査には参加しなかった。
 中2は2007年調査に比べ、数学と理科のいずれも順位を一つ上げた。

 日本は小4の算数が5位、理科が4位、中2は数学が5位、理科が4位だった。

 一方、数学が「好きだ」と答えた中2は8%、理科は11%にとどまった。
 数学の国際平均は26%、理科は35%。
 数学はスロベニアに次ぐ低水準で、理科は最低水準となった。
 小4は算数が23%と最低、科学は39%と3番目に低かった。 

 TIMSSは4年ごとに実施し、世界の小4と中2の平均点を公表している。
 今回、韓国は4335人の小4と5167人の中2がテストを受けた。


 韓国の子供は理数系に強いが、「好き」「興味がある」というより、必要に迫られた点数スタイルということのようである。