2012年7月30日月曜日

定年延長を義務化・制度化:終身雇用の崩壊目的

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サーチナニュース 2012/07/30(月) 12:51
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0730&f=politics_0730_006.shtml

日本はなぜ定年延長を義務化・制度化しようとするのか=中国

  中国網日本語版(チャイナネット)は30日、日本が定年延長を検討していると報じ、賛成と反対の声を紹介した。
 以下は同記事より。

  日本では60歳を超える労働者をよく見かける。
 スーパーの警備員やタクシー運転手の多くは定年退職後の高齢者だが、業務態度は真剣そのものだ。

  日本の高齢者は、定年退職後も働きに出ることを好む。
 統計データによると、2009年の60?64歳の就業率は57%に達した。
 日本政府は高齢者の勤務を奨励しており、高齢者を採用した企業に対して一定の援助を行っている。
 日本政府は今年新たな法案を提出し、定年を原則的に65歳まで延長することとした。

  日本はなぜ雇用年齢を65歳まで延長することを義務化・制度化しようとしているのか。
 その主因はやはり、日本の高齢化だ。
 国立社会保障・人口問題研究所の推測によると、日本の高齢者数は2014年に3300万人に達し、高齢者が総人口に占める比率が2024年に30%に達し、2055年には40.5%まで上昇する見通しとなっている。

 高齢化により、年金不足や医療費増加が生じるが、日本の社会保障に充てられる費用は、毎年1兆円のペースで増加している。

  日本社会において、定年延長については賛成者が多い。
 『日本経済新聞』が6月4日に発表した調査結果によると、新法案の賛成率は49%に達し、反対率は15%のみとなった。
 賛成者の80%は、年金がなく生計が立てられないことを第一の理由として挙げた。

  また、「60数歳でもまだ若い」、「60数歳の社員は知識と技術を持っている」、「仕事が老いの防止につながる」、「現行制度に問題がある」などがそのほかの理由として挙げられた。

  反対者の69%以上は、定年延長により若者の就職に影響が生じるとした。
 また、
 「退職者の全員が知識と技術を持っているわけではない」、
 「現在働いている人の給与が減る可能性がある」、
 「企業の負担が増加する」、
 「失業問題を先に解決すべき」
などがその理由として挙げられた。

  反対者の意見も筋が通っている。
 NTTは7月11日、60歳以降の再雇用制度(年収は最高で400万円)の実施を発表し、若い従業員の昇給に影響が生じる可能性があるとした。
 経団連の調査によると、60歳以上の社員の継続雇用が義務化されれば、若い社員の採用数を減らすとした企業が、全体の3分の1に達した。
 労働政策研究研修機構の周燕飛副主任は、「若者の仕事は、高齢者に奪われやすい」と指摘している。


 65歳定年制導入の最大の理由は、年金受給期を遅らすことである。
 年金はすでにパンクしており、これからはヤリクリでなんとか食いつないでいかないといけない。
 年金をプラス化する手段はまるでみあたらない。
 よって残された手段はどんどん受給開始時を遅らせ、受給金額を減らしていくことしかない。
 定年を延長すれば当然のこととして、若者の就職口を奪うことになる。

 現在でも若者は就職難に陥っている。
 成長期は人が欲しかった。
 大工場なら数百人が働いていた。
 いまではオートメ化で数十人もいればいい。
 その分、職場が消えた。
 この方向はこれからも変わらない。
 IT化はどんどん若者の職場を奪っていく
 人手がなくても生産量は大きく伸びるという社会に突入している
ということである。
 これから、更に
 生産量の伸びに反比例する如く社員数は減っていく、
というスタイルに変わってきている。。
 生産システムがそういう時代に入ってきているということである。

 さらに言えば、企業は
①.老人はいらない
②.今の技術は未来では通用しないがゆえに今の社員を未来雇用する必要はない
 それがゆえに、戦力は時々で集め、そして時々で減らしてゆくという伸縮構造にしないといけない。
 つまり、ほんの一部の社員をのぞいて、あとは時代の要請で雇用し、首切りできる形が望まれるということになる。
 よって、
 65歳定年制は確実に企業から終身雇用を消し去り、さらには現社員の首切りを促進するという結果
をもたらすために、必要だということである。
 65歳定年制は間違いなく終身雇用制度の息の根を止める
ことになる。
 
 できれば、逆に定年を55歳くらいに前に持ってきて若者に職場を与えるべきだと思うが、もうそれを考えれる余裕はなくなっているということである。
 もはや雇用制度はどうにもできなくなるほどに旧態化してしまい、崩れるのをまつだけになっている。
 ならば、
 一気に潰して、何か新しい芽が生まれてくるのを待とう
といった状況になっている。
 言い換えると、65歳定年制とは名目上の老人恩恵のように見えるが、政府の目的は雇用潰しである。
 潰したあとの制度を狙っていると言っていい。
 それがどんな形ででてくるのか、見守っていこうといったところだろう。
 つまり、65歳定年制とは
①.年金受給時期の先送り
②.終身雇用制度の崩壊誘発(現況雇用制度つぶし)
という、2つの目的を持って設定されたということである。



レコードチャイナ 配信日時:2012年11月4日 0時45分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=66098&type=0

在日華人ら「65歳退職法制化は生活に影響」―中国メディア

 2012年11月2日、日本の参院本会議で今年、「高齢者雇用安定法」改正案が可決・成立した。
 改正案は、60歳の定年に達したが引き続き働く意思のある社員を65歳まで雇用するよう企業に義務付けている。
 では、この新規定は在日華人の生活にどのような影響があるのか?
 在日華人はこの問題をどのようにとらえているのか?
 中国新聞社が伝えた。

日本の退職制度の崩壊を懸念

 在日華人・龍昇さん(69)は1980年から1994年まで15年間働き、厚生年金を15年間払った。
 1994年に独立し小さな貿易商社を設立した後も、元の勤務先で厚生年金の最低納付額を2003年まで払い続けた。
 年金を受け取るようになってすでに6年経つ。
 退職後の生活について、龍さんは
 「住宅ローンはもうすぐ完済できる。14万円あれば、ぜいたくしなければなんとかやっていける」
と話す。

 定年が65歳に延長されたことについて、龍さんは
 「好ましくない。
 年金受給開始年齢を引き延ばし、支出を減らすのが狙いだが、若者は年金制度に懐疑的で、自分たちの老後には何歳まで待てば受給できるか、と心配しているだろう。
 若者の未納付につながり、自身で老後の解決を考えるようになる。
 日本の年金制度は崩壊するだろう」
とみる。

65歳退職がよい

 昨年60歳の退職年齢を迎えた在日華人・梁さんは日本の大手企業に19年間勤務した。
 退職後、再雇用制度により、引き続き元の職場で1年更新の契約社員として働いている。
 「60歳退職はかなり厳しい」と梁さん。
 退職前は正社員で、給与水準は高く、ボーナスも手厚かった。
 しかし再雇用後は契約社員となり、ボーナスは消え、年収は元の3分の1から4分の1となり、人間関係も微妙に変化した。

 日本の工場で働く在日華人女性・張さんは退職から2年が経つ。
 「2年間苦しかった。できれば65歳退職がよかった」。
 正社員としては給与が多いわけではなかったが、厚生年金・健康保険があり、ぜいたくはできなくても、生活に困ることはなかった。
 2年前から年金受給が始まったが、65歳と60歳では受給額が異なる。
 現在は毎月わずか6-7万円だ。
 幸い子どもは社会人となり、主な生活支出は維持できるが、以前よりは厳しくなった。

経営者の見解はさまざま

 在日華人企業経営者の多くは記者に対し、今後は社員の退職年齢、年金受給開始年齢は60歳から65歳に徐々に推移していくと述べた。
 一定規模の華人企業の多くは「新華僑(改革開放後に訪日した華僑)」が創業しており、年齢層が若く、フレキシブルな経営が売りのため、法改正による影響は大きくなる。
 年功序列は日本企業の経営文化であり、社員はベテランになるほど、給与は上がる。
 退職年齢が延長されれば、若年社員の雇用が減少、組織の高齢化や人件費の上昇、創造力の低下につながり、損失が大きくなれば、経営状況の悪化に追い打ちをかけることになる。
 本来、臨機応変な経営手法の華人企業のセールスポイントも大きく弱まってしまう。

 しかし退職年齢の延長は企業にとって良いこともあると考える経営者もいる。
 あるハイテク企業の会長は
 「再雇用制度は早くに導入した。
 社員側は60歳の退職年齢に、退職か再雇用を選択できる。
 再雇用の場合、給与は10-20%下がり、各種保険・ボーナスは変わらない。
 退職金が支給されないだけ」
と語る。
 同社には現在、60歳以上の社員が十数人いる。
 会社に残ったベテランの技術力は高く、新製品開発・サービスなどでも経験が豊か。
 60歳は彼らにとって、まだまだ働き盛り。
 また、ベテラン社員は社内の安定感を増す。
 社員間で信頼感が生まれやすく、情報交換も容易。
 愛社精神も養われやすいという。
(提供/人民網日本語版・編集/TF)

 


【ファジイ集合体国家】



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2012年7月22日日曜日

グローバル化は日本のタテ型産業モデルの大きな課題

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レコードチャイナ 配信日時:2012年7月22日 6時41分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=63140&type=0

グローバル化は日本のタテ型産業モデルの大きな課題―中国メディア

 2012年7月16日、人民網日本語版によると、同じように海外での業務拡大をはかっても、日本のソニーやパナソニックは大きな赤字を出し、米国のアップルは大きなもうけを出している。
 日米の企業の利益情況にこれほど大きな差が出た原因として、日本は伝統的にタテ型の分業モデルを取り、米国はヨコ型の分業モデルを取ることが挙げられる。
 財政経済の専門家・李克(リー・カー)氏はこうした問題について分析した。
 中国広播網が伝えた。

 日本では最近、国内経済が多くの問題を抱えている。
 これまで優勢を誇っていた一連の製造業に問題が出現し、高齢化によって貿易に困難が生じ、円高が一連の困難をもたらすなどで、こうした問題を前にして日本の人々は途方に暮れている。
 日本の国内総生産(GDP)という点から考えると、目下の高齢化の進行や日本企業の海外進出の動きの強まりなどにともない、短期的には日本の国内市場や国内経済が大きな転換を迎えたり、大きく発展したりする可能性は低い。
 ここ3-4年の間に、各方面の生産コストの上昇や高齢化の深刻化により、ますます多くの企業が海外進出を検討するようになっている。

 1990年代にも日本企業が海外進出に走る情況が出現して大きな論争となり、日本国内の産業が空洞化するのではないかということを人々は熱く語り合った。
 だが2000年以降に出現した新しい海外進出の流れは、90年代当時の状況とは異なる。
 90年代の主な狙いは、海外の労働力や生産要素といったコスト的優位を利用して製品を生産し、その多くを日本に送って売るということにあったが、00年以降の海外進出はこれとは異なり、国外の市場を海外市場開拓の第一歩ととらえ、現地生産、現地販売を主な発展の方向性としている。
 よって新たな海外進出の発展の流れの中にあって、日本企業の海外での生産あるいは経営ということが、日本の国内経済を支える非常に重要な柱になっている。

 現在、海外にある日本法人・日本企業で出資比率が10%を超えるものは、収益の規模が1400億ドルに達しており、平均収益率が日本国内で経営を行う日本企業の2倍以上に上る。
 このためますます多くの日本企業が海外市場を重点ととらえるようになり、海外で収益を実現した後に国内の親会社へ、あるいは国内の企業へ一定の支援を提供するようになっている。
 これは過去10年間ほどの日本の発展における大きな特徴の一つだ。
 だがこうした過程で一連の変化も生じている。
 日本では今年に入ってから、自動車分野で、とりわけ電子産業分野で有名な企業やパナソニック、ソニーなどがいずれも巨額の赤字を出し、産業界、学術界、政府関係者に大きな衝撃を与えた。

 現在、日本企業はさまざまなモデルに基づいて調整を進めており、発展変化の主な方向性として次の2つが挙げられる。
 一つは、日本企業の特徴としてよく知られるタテ型の分業モデルあるいはタテ型の産業調整モデルで、規模の大きい有名企業が牽引役となり、製品の集積企業となって、数百社、数千社の中小企業がこれに呼応し、サービスを提供して、高品質の製品を生み出すというもので、国際市場で一定のシェアを獲得してきた。
 タテ型の分業モデルは日本企業がこれまでずっと自信をもってきたモデルであり、完成度の非常に高いモデルでもある。
 トヨタ、ソニー、パナソニックなどはすべてこのモデルを採用してきた。
 だが十数年にわたる世界の変化により、特にグローバル化がもたらす世界の分業生産モデルの一連の変化(営業販売市場システムの変化を含む)が、タテ型の分業モデルあるいはタテ型の産業調整モデルにとってますます大きな課題となっている。

 もう一つはアップルのような企業が採用するヨコ型の分業モデルで、アップルはこのモデルによって企業発展の非常に大きなチャンスをものにしてきた。
 ヨコ型の企業はある産業の産業チェーンをオープンにし、デザインや中核的部品といった難易度の高く営利性の高い部分だけをコントロールする。
 金融に関連する業務もコントロールの対象で、営利性が低く単純な生産・組立産業は発展途上国に任せることにした。
 こうしたモデルの発展は実際には非常に効果的なものであり、日本のタテ型の産業調整モデルにとっては大きな挑戦となった。
 日本では現在、こうした点を踏まえてどのように調整を行うかの検討がなされている。

 李克氏は世界的に有名な経済学者で、日本大学大学院グローバルビジネス研究科EMBA課程の終身教授、日中管理学院の院長、経済誌「アジア太平洋経済評論」の編集長、アジア開発銀行(ADB)の研究員を務める。
 長年にわたりアジア・太平洋地域の経済や企業の管理について研究を行い、中国経済と日本経済について独自の見解を発表している。




【ファジイ集合体国家】



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2012年7月20日金曜日

「中国化する日本」:議会民主主義はもはや限界?

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レコードチャイナ 配信日時:2012年7月20日 7時43分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=63005&type=0

<書評>「中国化する日本」
宋はグローバル化の先進国だった
―議会民主主義はもはや限界?


アジアで唯一初めて近代化=西洋化に成功したのが日本で中国をはじめ他のアジア諸国は遅れた―。
與那覇潤著「中国化する日本」は、という通説に疑問を投げかけ、12世紀の源平合戦から最近の政権交代まで1千年の日本史の光と影を大胆に綴った骨太の歴史物語である。

現代世界の諸制度や社会産業構造が、
宋代(960年~ 1279年)の中国において既に実現
されており、
「産業革命以降の西欧はその後追いで『中国化』していった」
というのが本書を貫く主張だ。

現在のグローバル化の果てにあるものは、「中国的」と言える一元化された政治システムによる支配と、その上で可能になる自由かつ多様な経済・文化活動を特徴とする社会ではないか、と予測する。
そこでは日本の江戸時代のような「ムラ社会」も戦後日本のような「家族主義的企業」も中間共同体としては機能せず、血縁など個人的なネットワークが重んじられるようになる。
唐代の貴族中心の封建政治を打破してつくられた
宋以降の千年に及ぶ中国史は、グローバル資本主義下の社会経済モデルの「宝庫」
と位置づける。

著者はこうしたグローバル化=中国化の流れと、これに対抗する鎖国という2つの流れの力関係は、12世紀から日本史を決定づけてきたと強調。
特に、日本の戦後史を彩る、戦後の社会党政権、田中角栄政治、細川内閣、小泉改革など特異な政治事象に鋭く切り込んでいく。
民主党政権交代の熱狂と失望、橋下(大阪維新の会)現象、原発再稼働デモなど最近の事例と照らし合わせると、議会制民主主義の限界も浮かび上がる。

世界で千年単位の「中国化」が徐々に進行しているとすれば、その実態の把握は、日本が直面する諸問題を考える上で有用だ。
順調に「西洋化」したはずの日本の閉塞と、
逆に「近代化」に落伍したとみられた中国の不気味な台頭を、
分かりやすく説明してくれる。

アジア太平洋の経済連携、憲法九条、外国人参政権などが「中国化」への対応策になり得るとの視点も新鮮だ。
明治以降の碩学が書いた参考文献を数多く紹介。
軽妙な政治談議や関連映画の紹介も魅力的。
平易な語り口で政治、経済、文明すべてを網羅し、大胆な「世界図式」を構想した野心作といえる。
(文芸春秋刊・1575円)(HY)

[注]「<著者が語る>直接統治「一君万民」への流れが高まる―「中国化する日本」執筆の與那覇潤氏」に続く。
=====



<著者が語る>直接統治「一君万民」への流れが高まる
―「中国化する日本」執筆の與那覇潤氏
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=63084&type=0

2012年7月、話題の書「中国化する日本―日中『文明の衝突』1千年史」の著者である與那覇潤氏は日本記者クラブで、自著について語った。

「日本では、間接民主主義(議会政治)への不信が高まっている」
と指摘した上で、最近の橋下大阪市長による「大阪維新の会」への人気集中、石原東京都知事提唱の尖閣諸島購入を目的とした寄付金集め、首相公選制への高い支持率などを事例に挙げ、「統治者と国民の間の「介在者」を排除して直接政治体制を希求する『中国化』の動きが進行している」と強調した。
発言要旨は次の通り。

中世の昔から日本は
「グローバル・スタンダードに合わせるのか、日本独自の道をゆくのか」
で揺れてきて、源平合戦も南北朝の動乱も、これをめぐる争いだった。
当時、ヨーロッパは後進地域だったので、「グローバル・スタンダード」は「中国標準」のことだった。

日本の歴史でいうと中世に当たる宋代以降の中国の国内秩序と、現在の「グローバリズム」の国際秩序は、よく似ている。
形式的には「機会平等」となる条件で自由競争していることになってるが、実態としては権力の「一極化」や富の偏在が起きている。
そういう中国=グローバル社会のあり方を受け入れるか否かで国論が二分された。
このため日本の中世は激しい内戦状態だったが、結局、「受け入れない」という結論を出したおかげで、近世には平和になった。

江戸時代の「徳川文明」ができ、「日本の国民性」とか「日本らしさ」のようなものはこの時、「中国化」の影響力から脱することで初めて可能になった。
日本人にとっては居心地がよかったので心のふるさとになった。

明治維新で制度改革や産業革命を断行して競争社会に変革したが、その後の「昭和維新」では農村を救えとか、ブロック経済で雇用を守れとかが主流となって国家統制国家に戻り、「再江戸時代化」された。
戦後も高度成長で地方から人が都会に出てきて大都市圏に集中すると、田中角栄の列島改造とか、竹下登のふるさと創生事業とかで、『古き良き地方社会』のイメージを守ろうとする。
小泉改革であれだけ規制緩和とか自由競争と叫ばれたのに、小泉首相が辞めたらあっという間に元に戻った。

今日のグローバリゼーションの核にあるとされる「西洋文明」とは、新参者として後から割り込んできたものだ。
ある面では中華文明に似ているが、他の面では日本文明に近い。
その結果として、20世紀の半ばまでは日本文明のほうが相対的にうまく適応していたが、冷戦が終わる頃から、「停滞する日本」と「台頭する中国」という構図が出現した。

江戸時代は基本的には農耕文明で、そのムラ社会を護送船団方式や日本的経営に改装することで、工業化にも適合させたのが昭和期の「再江戸時代化」だった。
資本主義が金融化・情報化・サービス産業化していくとついていけなくなった。

大阪維新の会への人気は橋下徹さんというカリスマ個人への期待だ。
複数の国政政党が、全国レベルでマニフェストを出し合って論争したが、行き詰っている。
これとは別に地方の首長選挙があり、まず橋下さんという「トップ」一人だけを地域の住民が担いでいる。
それを見て「民主主義の危機」と騒ぐ人たちもいるが、ある意味で中国的な「民主主義」といえる。
皇帝一人に権力を集中して、その人が既得権益者を排除する。
伝統中国では、「選挙」といえば、一人一票で議会の議員を選ぶ投票のことではなくて、皇帝の手足になるスタッフを試験で選抜する科挙を指す。

中国では、貴族が支配していた唐までの既得権益社会を宋がぶち壊し、世界で初めての身分の平等の体制をつくった。
これ以来「一君万民」の時代が続いている。
今は共産党政権だから「一党万民」と言える。
中国の現在の「一極専制」体制は共産党政権ゆえではなく伝統的なものだ。
「国家資本主義」は中国の伝統に合致している。

日本では、間接民主主義(議会政治)への不信が高まっている。
「橋下人気」だけでなく、石原新太郎東京都知事が呼びかけたの尖閣諸島購入のための寄付金集めも、統治者と国民の間の「介在者」を排除した直接的な政治体制を希求する動きといえる。
首相公選制に日本の世論の6割以上が賛成しているが、実現すれば「中国化」になる。
原発再稼働反対のデモが官邸を取り囲んだり、住民による国民投票請求が続出している。

生活保護費の問題が政治家の手によって公開裁判のような形となったのは、もはや3権独立の法治国家ではなくなりつつある事例と言える。
最近では政治家だけでなく裁判官・検察も信用されていない。

西洋化と中国化のうち、好ましいのは西洋化だが、日本は蓋然的に中国化の道をたどるのではないか
西洋化していると思いこんでいる人が多いが、実際は中国化している

独ワイマール憲法時代のドイツの法学者、カール・シュミットミットは間接議会制の問題点を次のように喝破している。
「近代の大衆民主主義は、民主主義として統治者と被治者の同一性を実現しよう努めるものであるが、
議会制は、その行く手に、もはや理解し得ない、時代遅れの制度として横たわっている」。




本の話web  2011.12.14 08:00
http://hon.bunshun.jp/articles/-/445



「西洋化」に代わる物語を
『中国化する日本』 (與那覇潤 著)


聞き手「本の話」編集部

発売後1週間で増刷が決まるなど、『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』(11月刊)が好調である。
著者の與那覇潤さんは弱冠32歳の大学准教授。
本書は著者のふだんの講義内容をまるでライブ録音そのままに、会話体で書き下ろしたものだというが、タイトルにある「一千年史」のとおり、院政の開幕/源平合戦から政権交代/ポスト3.11まで、1000年超の日本史すべてを斬新な視点で論じ切る内容が話題になっている。その狙いや執筆の舞台裏を、與那覇さんに語っていただいた。

――與那覇さんの本来の専門は明治時代の沖縄問題(*『翻訳の政治学』 岩波書店 2009)で、前著で扱っているのは昭和の戦争(*『帝国の残影』 NTT出版 2011)と、これまで近現代史の分野で研究をしてこられました。
それが今回はそもそも、どうして一人で1000年分も書こうと思ったんですか?

與那覇:
普通じゃないですよね(笑)。
ただ、従来からよきにつけ悪しきにつけ、日本の近代化って「特殊」だ、といつも言われてきた。
「よき」の方は「アジアで唯一の列強入り」や「奇跡の戦後復興」であり、「悪しき」の方は「歪んだ軍国主義」とか、「民主主義の不成熟」とか。
でも、そういうこと言うならじゃあ、日本の近代化の歩みはいつどこで「歪められた」のか。
その「特殊さ」の起源をつきつめて考えていくと、結局そこまで遡らないといけないことに気づいたんです。

――遡るといっても、普通の本なら明治かせいぜい幕末までで、日本が「欧米列強」と比べていかに「特殊」かを説明してゆくわけですよね。
ところがこの本だと、なんと源平合戦まで戻っちゃうから、比較の対象も欧米ではなく中国に。

與那覇:
はい。
たとえば先日の*TPP論争でも「開国」や「黒船」にたとえられて、「どうして日本人はグローバル化がヘタなのか」とか、逆に「そもそもロクなもんじゃないグローバリズムに日本が合わせる必要があるのか」とか、議論されてましたよね。
でも実はこれって、今に始まった話じゃないんですよ。
中世の昔から日本は「グローバル・スタンダードに合わせるのか、日本独自の道をゆくのか」で揺れてきて、源平合戦も南北朝の動乱もある意味、全部それをめぐる争い。
ただし、当時はヨーロッパなんて後進地域だったので、その「グローバル・スタンダード」は「中国標準」のことだった。

――それがタイトルの『中国化する日本』の由来なわけですね。

與那覇:
そうです。
第1章(※期間限定で無料ダウンロード実施中。2012年2月5日まで)に書いたことなんですけど、実際、日本史でいうと中世の年代に当たる宋朝以降の中国の国内秩序と、現在賛否両論の「グローバリズム」の国際秩序は、すごく似ていて。
よく言えば徹底的な競争社会、悪く言うと弱肉強食の格差社会で、形式的には「平等」な条件で自由競争していることになってるにもかかわらず、実態としては猛烈な権力の「一極化」や富の偏在が起きている。
そういう中国=グローバル社会のあり方を受け入れるか否か、で国論が二分されたから、日本は中世のあいだはものすごい内戦状態だったんだけど、結局、「受け入れない」という結論を出したおかげで、近世にはピタリと平和になって…。

■中華文明・日本文明、1000年の構図

――江戸時代の「徳川文明」ができたと。
いわゆる「国民性」とか「日本らしさ」のようなものはこの時、「中国化」の影響力を脱することで初めてできたんだ、という点を本書は強調していますよね。
そして、それがあまりにも日本人にとっては居心地がよかったので…。

與那覇:
心のふるさとになってしまって、疲れるといつもそこに帰りたがる(笑)。
自分の本では「再江戸時代化」という言葉で表現している部分です。
明治維新で産業革命をやってガバッと競争社会にしたけど、「昭和維新」では農本主義で農村を救えとか、ブロック経済で雇用を守れとかで、ガチガチの国家統制に戻しちゃう。
戦後も高度成長でガンガン人口が都市に出てきて根無し草になると、田中角栄の国土の均衡ある発展とか、竹下登のふるさと創生事業とかで、やっぱり『古き良き地方社会』のイメージを守ろうとする。
小泉改革であれだけ規制緩和だ自由競争だと言ってたのに、彼が首相を辞めたらあれよあれよという間に昭和ブームが起きちゃって、
「やっぱり、ちょっとくらい不自由でも我慢しあって生きてくのが日本人だよ」
みたいな(笑)。
これは結局、中世の頃に「中華文明」を取り入れかけたんだけど、結局それについていけなくて別の道を選んだ、*日本文明というものの体質の表れなんです、よくも悪くも。

――サブタイトルにある『日中「文明の衝突」一千年史』というのも、そういう含みがあるわけですね。
元寇や日中戦争のような、両国が直接「軍事衝突」した事例だけではなくて、中華文明と日本文明という二つの文明が、東アジアでパフォーマンスを競い合った1000年間という構図で描かれている。

與那覇:
その通りです。
逆にいうと、今日のグローバリゼーションの核にあるとされる「西洋文明」というのは、新参者として後から日中に割り込んできたわけ。
しかもコイツが曲者で、ある面では中華文明に似てるのだけど、他の面では日本文明に近い。
その結果として、20世紀の半ばまでは日本文明のほうが相対的にうまく適応していたのですが、冷戦が終わる頃から、昨今かまびすしい「停滞する日本」と「台頭する中国」という構図が出てきちゃった。
江戸時代って基本的には農耕文明で、そのムラ社会を護送船団方式や日本的経営に改装することで、工業化にも適合させて「延長」してたのが昭和期の「再江戸時代化」だったんですけど、資本主義が金融化・情報化・サービス産業化していくと遂についていけなくなった。
最初は
「COOL JAPANで世界市場を席巻だ!」
とか言ってたはずが、今や「韓流やK-POPに国内市場を盗られる」とかいう話になってるでしょう(笑)。
西洋文明のうち中華文明に近い方の側面がグローバル化で前面に出てきたから、中国・韓国の方がうまく乗っかっちゃってるわけですね。

――そして『中国化する日本』ということは、1000年間の戦いを経て、最後の勝利者は中国に…?

與那覇:
いえ、そうは断定していないんです、よく誤解されてるみたいですけど(笑)。
むしろこれまで長いこと、「西洋化」とか「グローバル化」とか言われると、あたかも自明に「いいもの」だとか、
「欧米先進国に並ぶためにやらなくちゃいけないこと」
みたいに見えちゃってたわけじゃないですか。
でも、「それ、実は中国化かもよ」って言われたら、ちょっとギョッとなるというか、少なくとも、
「いったいその内実が何で、どんなメリットとデメリットがあるのか、きちんと判断してから考えよう」
とは思いますよね。
それこそが今の日本で必要な態度だと思うし、実際、近代以降「西洋化」してきたと言われてる日本だって、実のところは「中国化」しかして来なかったんじゃないかとも言えるので…。

■政治に失望すると授業が人気に?

――本当ですか!? たとえばどんな…?

與那覇:
今の政治なんか典型じゃないですか。
本書が出て1週間後に、ダブル選挙で大阪維新の会が勝ちましたけど、これってもう政党どうしの争いではなくて、橋下徹さんというカリスマ個人への期待ですよね。
複数の国政政党が、全国レベルで日本をどうしたいかというマニフェストを出し合って、その一環で地方の首長選挙があるわけじゃなくて、まずは橋下さんという「トップ」一人だけを地域の住民みんなで担いで、後はその人気や権勢にぶら下がりたい人たちが議員としてついてくればOKと。
もちろんそれを見て「民主主義の危機だ」って騒ぐ人たちもいるけど、ある意味これって中国的な「民主主義」なんですよ。
皇帝一人を推戴して、その人が既得権益者をバッサバッサとなぎ倒すのをみんなで応援しようと。
だから伝統中国で「選挙」といえば、一人一票で議会の議員を選ぶ投票じゃなくて、皇帝の手足になるスタッフを試験で選抜する科挙のことなわけです。

――つまり、日本が「西洋化」してきたと思っているから混乱するけど、「中国化」してきたんだと思えば、しごく当然の帰結であるということですか。

與那覇:
そうそう。
国政レベルだってそうですよね、盛り上がるのは「誰を次の総理に」でトップのクビをすげ替えるときだけで、替える理由もよく分からない。
政策を転換するために交替させるっていうよりも、支持率が落ちてきて「人徳がないから」とかなんかそんな感じ(笑)。
国会の審議や政治報道だって、与野党間で政策を競うよりもスキャンダルをつつきあう方が注目が集まるから、ゴシップ記事みたいな話ばっかりじゃないですか。
要するに「政策的にとるべき選択肢は何か」の議論と、「道徳的に優れた統治者は誰か」の議論を区別できてないわけで、近代西洋型の合理主義というよりも、儒教の道徳原理に支えられた伝統中国の徳治主義のほうに近い。

――これまで自民党の長期政権が続いてきたあいだは、日本の民主主義は政権交代がないから「特殊」でダメなものだと言われてきて、だから2009年に民主党政権ができた時には一見、「これでヨーロッパに追いついた」となった。
しかし、実際の日本は「西洋化」するどころか「中国化」していたので、今日の体たらくに…。

與那覇:
それがまさに本書の隠れモチーフですね。
実は、この前も学生さんと笑いあったんだけど、自分の授業の人気って政治への期待と反比例するらしいんですよ(笑)。

――本当ですかそれ(笑)?
「授業」というのは、本書のもとになった…。

與那覇:
まぁ、別に学問的に分析したわけじゃないんで、本当に当たってるかは分からないですけど、現にいちばん受講者が少なかったのが、2009年の鳩山内閣発足直後の冬学期で、なんとたった2人。

――2人って、講義録が出る授業がですか(笑)?

與那覇:
そうです(笑)。
逆に、その後半年経って民主党政権がグダグダになってきて、次の夏学期が始まる4月になると、普天間問題で誰の目にもぐちゃぐちゃになってたじゃないですか。
そうしたら途端に今度は教室が満員になって、ただの選択科目なのに過半数が受講する学年まで出てきちゃった。
しかも、明らかに教室の空気が一変したんですね。
それまでも受講生の態度が悪かったわけじゃないけど、明らかにみんなが積極的というか、表情が真剣というか。
今年も菅直人さんのおかげかどうかはわからないけど(笑)、やっぱりそういう雰囲気が続いています。

■西洋化とは全く違う「大きな物語」

――それはどうしてなんですか?

與那覇:
たぶん、「政権交代をすれば日本はよくなる」っていうのが、*日本に残っていた最後の「大きな物語」 だったと思うんです。
私たちは「西洋化」というよりよい道を歩いてきていて、自民党という邪魔者がそれに立ち塞がっているけれども、それさえ打ち壊せばなんとかなるんだ、っていう。
そういう「すでにインプットされている、一見なんでもそれで説明できそうなストーリー」――学者の用語で言うと「マスター・ナラティヴ」とか、「パラダイム」になりますが――が機能している状態だと、実は日本は西洋化じゃなくて中国化してるんだ、なんていう「マイナーなストーリー」を喋ったって、普通は耳に入っていかないわけで。

――なるほど。
逆に、これまでの「大きな物語」のウソがバレたから、これはちょっと、違う物語で説明してもらわないと、もうわけがわからないぞと。

與那覇:
そういうことだと思うんです。
実際、印象深かったのは、その受講者が一気に増えた2010年の夏休みに、まさしく日本人の中国イメージって一変するわけじゃないですか、尖閣沖漁船衝突事件。
自分は最初、これで「ああ、冬学期は学生減って元の木阿弥だな」と思ってたんですよ。
それまでも中国化だなんていうと、「中国は嫌いだから興味ありません」とか、「あんな遅れた国に日本がなっていくなんて意味不明」みたいな反応が絶対にあったし、北京五輪と関連してチベット問題がお茶の間のニュースになった頃から、やっぱり中国語の履修者がガクンと減ったっていう先生の話も聞いたことがあったんで。
ところが、まさに尖閣問題沸騰のさなかに教室に出ていったら、ほとんど減ってない。
「ムカツク中国の話なんて聞きたくない」じゃないんですよ。
むしろ「どうなってるんだ、説明してくれ」という意欲の方が強かった。

――随所で従来の右翼/左翼の歴史観をバッサリやっているのもそのためですか。
学者が書いたカタめの参考文献を数多く紹介する一方で、時事ネタに引きつけたべらんめえ調の政治談議が豊富なのも、本書の珍しいところですよね。

與那覇:
マスメディアに載る歴史のニュースや一般向けの歴史の本に、
「右の歴史と左の歴史、さぁ正しいのはどっち?」
的な煽り方のものが多いせいで、学生さんも含めて勘違いしてしまう人が多いんですけど、それって今や学問的な歴史の議論とは、完全な別物なんですよ。
そもそもこれまでの右翼/左翼って、大雑把にいえば人類がみんな「西洋化」していくというウソの物語に乗っかった上で、
「日本も『もう十分に西洋化した』と威張っていいのか?」
とか、ちまちましたことを争ってきただけで。
あるいは、
「西洋化の結果として、われわれ日本固有の伝統を失っていいのか?」
みたいな議論もあったけど、でも、現に西洋化うんぬん以前に中国化しかしてないんだったら、決定的にピントがズレてるわけですね。
本当に面白い歴史はそっちじゃないよ、と伝えたいから、アカデミックな歴史の専門研究の紹介と、ベタな左右の論説の全否定とを、どっちも一冊でやっています(笑)。

――ひょっとすると本書を買っている人も、これまでの歴史観の賞味期限が切れたことにうすうす気づいて、新しい「大きな物語」を求めているんでしょうか。
「西洋化」していたはずの日本のいきづまりと、逆に「近代化」の劣等生だったはずの中国の不気味な台頭を、分かりやすく説明してくれるストーリーを…。

與那覇:
もしそうだったら、すごく嬉しいですね。
いま「大きな物語」っていうのは色んなところで評判が悪くて、たとえば歴史学者だったら
「実証性がなく大雑把すぎる。細かい事例の具体的な分析に基づいていない」という批判は当然あると思うし、評論の世界でも「これだけ『個人』が分裂し多様化した時代に、いまさら『国家』や『文明』みたいな単位で物語なんか語れるのか」
って言われても仕方がない。
あるいは3.11の原発事故や震災復興とか、もしくはそれ以前から格差問題や反貧困とかの現場にいる人なら
「まさにいま目の前にこんな問題があるのに、1000年分振り返ってみましょうだなんて悠長なことを言ってる場合なのか」
という印象を持たれるかもしれない。
ただ、自分は日本社会が大きな曲がり角にあるいまだからこそ、これまでのもの(西洋化)とは全く違う「大きな物語」(中国化)を立てて、いっぺん考えてみる必要があると思ってる。
大げさに言うと、それを通じて日本の針路を示せるかどうかに、「歴史」というものに今もまだ意味があるのかどうかが、懸かってると思うんです。

――ありがとうございました。




【ファジイ集合体国家】



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2012年7月17日火曜日

日本の民主党代表選、野田首相が再選確実視される理由

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朝鮮日報 記事入力 : 2012/07/17 07:15
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/07/17/2012071700470.html

日本の民主党代表選、野田首相が再選確実視される理由

 9月に予定されている民主党の代表選挙では、野田佳彦首相の再選が確実視されている。
 野田首相は、少数派閥出身ということに加え、歴代首相の中で支持率が最低レベルなのにもかかわらず、過去の首相が着手をはばかっていた消費税引き上げ、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定推進、さらに集団的自衛権導入を推し進めるなど、強い推進力を示している。

 前原誠司政調会長が次期党代表選での野田首相支持を宣言したほか、代表選出馬説が出回っていた細野豪志環境大臣も、代表選に出馬しない意向を示し、野田首相が推挙を受ける形で代表に再選される可能性が高まった。
 民主党最大の派閥を率いていた小沢一郎元代表のグループが集団離党したことにより、党内のけん制勢力も消えた。
 国民的認知度が低かった野田首相は、昨年8月に決選投票で辛うじて党代表に当選した。
 当時は、政治的なカラーがはっきりしていて国民的人気が高い前原氏に対するけん制心理が働き、野田氏が「漁夫の利」を得たという評が多かった。

 野田首相は就任当初
 「党内和解を最優先にしたい」
 「ドジョウのように熱心に働きたい」
と語り、深々と頭を下げたが、任期が1年にも満たない短命首相で終わるだろうという見方が多かった。
 ところが野田首相は、「帝王的首相」といわれるほど人気とカリスマがあった小泉純一郎首相(在任期間2001-06年)もなし得なかった、消費税引き上げなどの難題を解決してきている。
 推進力の源は、政治家養成所「松下政経塾」の人脈だ。
 前原政調会長・玄葉光一郎外相など松下政経塾出身の議員38人が、党や派閥を越えて粘り強く支援している。
 このほかにも、財務省人脈という支援勢力がある。
 野田首相は財務大臣を務めた経験を持つ。
 谷垣禎一総裁はじめ自民党内の財務大臣出身議員が、消費税引き上げに協力した。
 財務大臣経験者は
 「消費税を引き上げなければ国が不渡りを出しかねない」
という危機意識を共有し、超党派的な観点から野田首相を支援している。
 また自民党には、自分たちが政権を取ってからしようとすることを野田首相が先にしてくれると考え、支援している側面もある。

 野田首相の推進力は「反ポピュリズム」から出ている、という評価が多い。
 世論や人気に恋々とせず、党を割る覚悟で自分の信念の通り政策を推し進めるというわけだ。
 支持率に縛られた従来の政治家とは正反対の戦略を選んだことに、けん制勢力は当惑し、分裂する雰囲気を漂わせている。
 しかし、民主党からの離脱者がさらに増えた場合、内閣の崩壊は避けられないという見方も出ている。




【ファジイ集合体国家】



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2012年7月11日水曜日

日本の政局はなぜこうも混乱するのか?

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レコードチャイナ 配信日時:2012年7月11日 6時29分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=62828&type=0

日本の政局はなぜこうも混乱するのか?―中国メディア

 2012年7月10日、最近、日本の政局が再び混乱している。先月末に元民主党代表の小沢一郎氏が「消費税増税法案」を理由に突然野田佳彦首相と反目し、部下を率いて出て行った。
 最近また、「除籍」に不満な小沢氏が新党結成を国会に届け出たとの情報が伝わってきた。
 新党の立ち上げは7月11日になるという。(文:鄭興、郭沖。人民日報海外版掲載)

表象:混乱は進行中

 自らのグループを率いて憤然と出て行った小沢氏だが、増税法案の可決を阻止することはできなかった。
 だが日本の評論家は
 「今回の破壊行為は3年間続いた民主党政権を一夜にして潰滅させるに等しい」
と指摘する。
 小沢氏の行動によって日本の政局に再び暗雲が立ちこめ始めた。

 日本は外交面でも難を免れずにいる。
 先月末にロシアが
 「技術的にも経済的にも合理的でない」
として日本向け天然ガスパイプライン構想を放棄した。
 この騒ぎがまだ収まらぬ3日、ロシアのメドベージェフ首相が北方四島の国後島を視察し、この地域に対する実効支配を誇示した。
 この行動に日本国内は騒然とし、日本政府は「許し難い暴挙」と表現した。
 だが、それでも日本にはロシアに実際に干渉するすべはない。

 このほか日本国内では釣魚島(日本名・尖閣諸島)をめぐる騒ぎも激しさを増している。
 今年4月以降、石原都知事は「東京都が釣魚島を購入する」とわめき続けている。
 これについて野田政権は態度を明確にしてこなかったが、最近になって釣魚島国有化の方針を表明し、石原都知事と共に「島購入」の茶番に頭を突っ込み始めた。

根源:根本的原因は経済

 日本の混乱は一夜にして形成されたものではない。
 その根源を突き止めると、経済の持続的低迷こそが混乱をもたらした根本的原因だ。

 プラザ合意以来、高齢化やデフレが経済成長を著しく妨げたと評論家は指摘する。
 人口問題は解決が難しく、金融政策措置は限られている。
 日本はすでに増税しようとしまいと経済状況の転換は困難というジレンマに陥っている。
 近年日本の政局は混迷し続けており、首相の頻繁な交代という宿命を脱せずにいる。
 首相がいかに「短命」で、与党がどう再編されようとも、経済問題は未解決のままだ。
 また、たとえ経済情勢が少し好転しても、円高や米国に利益の一部を持って行かれる不運からは免れがたい。

 日本政府が政策面で自立していないことも混迷の原因の1つだと指摘するメディアもある。
 当初民主党は独立した一派を形成して組閣に成功し、政策の自立とアジア回帰を旗印に掲げた。
 だが今や経済問題が解決されない中、野田内閣は親米という自民党の古い道に戻らざるを得なくなっている。
 小沢氏は民主党の「後退」に明らかに不満を抱いている。

 だが党を分裂させて権謀術数を弄し続けるだけでは、民衆の支持を得られるとは限らない。
 国内の経済問題を根絶するすべがない中、権力の座にいる者は外交問題で頻繁に行動を起こすほかない。
 日本政府が大げさに騒ぎ立てる釣魚島問題や北方四島問題は、いずれも民衆の注意をそらし、経済政策の無能さを覆い隠すための表看板に過ぎない。

展望:自立と善隣

 経済問題と政治の混迷は互いに因果関係にある。
 日本政府の経済政策の力不足、政策の自立性の欠如が、現在の政局の混乱をもたらしたのだ。
 野田政権が早期衆院解散・総選挙の強い圧力に耐えることは難しい。
 小沢新党はまだ明らかに勢力が弱く孤立しており、有権者から有望視されていない。
 政界は派閥が乱立し、各党が争い合っている。
 日本に真に必要なものが、経済状況の全面的な転換と独立した政策決定のできる政党であることは明らかだ。

 「親米は日本にとって良い選択というわけではない」
とある専門家は指摘する。
 現在、新興の発展市場としてアジアの台頭が世界的に注目されている。
 日本にとって領土問題を利用して紛争を引き起こすことは決して賢明なことではない。
 アジア太平洋諸国との善隣友好、協力強化こそが大きな流れなのだ。


 「なぜかくも混乱するのか」
 それなのに、なぜ暴動が起きないのか。
 不思議の国、ニッポン

 「日本はアジアの病人」になりつつあるそうである。
 病気なので暴動が起こせるほどパワーがないということのようである。


レコードチャイナ 配信日時:2012年7月11日 12時36分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=62846&type=0

中国とは逆、
“アジアの病人”になりつつある日本


 2012年7月10日、華字紙・日本新華僑報(電子版)は
 「日本はあとどれくらいで『アジアの病人』になるのか?」
と題した記事を掲載した。
 以下はその要約。

 最近、日本の求人情報サイトが15歳から25歳までの男女2447人を対象に実施した調査で、「将来何をやりたいか?」との質問に、ただ「就職したい」と答えた若者は全体の6割を占めた。
 「社会人」と答えたのは22.4%で、この2つの回答で全体の8割を超えた。
 その理由として最も多かったのは「お金を稼ぐため」で、「生活のため」、「社会に貢献するため」と答えたのは14.4%と少数だった。

 現在の日本の若者は理想よりも現実重視だ。
 しかも約4割の若者が前途に不安を抱いている。
 彼らの多くが責任を負うことを嫌い、他人のために働く意欲のある者は全体の3分の1にも満たない。
 不安と利己的、責任感の欠如が彼らの特徴だ。

 約140年前の日本では、中村正直という青年が英国人のサミュエル・スマイルズの「自助論」を翻訳し、「西国立志編」として出版。
 そのなかの「天は自ら助くる者を助く」という言葉は当時の日本の若者に大きな感銘を与えた。
 100年以上たった今、若者たちの心からかつてのような高い志は消えてしまい、代わりによりどころのない喪失感と不安感でいっぱいになっている。

 20年前の日本は、活力と野心に満ちたパワーあふれる国家であり、プライドも高かった。
 しかし経済の長期低迷は日本人から自信を奪い、極度の自我萎縮をもたらした。
 少子高齢化の加速する一方で、就職状況は悪化。
 若者が将来に不安を覚えるのは当然のことだ。
 艱難辛苦に耐え、勇猛果敢に突き進む戦闘能力を失った若者の間には「おたく」や「草食系男子」が増殖している。

 かつて中国は日本から「東亜病夫(東アジアの病人、アヘンで痩せ細った中国人への蔑称)と呼ばれていたが、今の中国は「病人」からは程遠い存在になっている。
 そのかわりに、理想もなく目標もない、「草食系」の日本人のほうがどんどん「病人」に近づいていっているのではないだろうか?




【ファジイ集合体国家】


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***** ファジイ集合体:日本 *****


●公開日: 2013/01/20


【ファジイ集合体国家】



高齢社会白書:将来推計人口でみる2060年の日本=8,674万人になると推計
まじめほど怖ろしいものはない:等身大の日本

穏やかな気質で知られる日本人社会:「悪口まつり」でストレス発散?!
「折りたたみケータイは永遠です」:スマホの時代なのに
キリスト教、イスラム教、「無宗教」が世界の第3勢力:うち6割以上が中国人
日本人の過半数、「男は外、女は内」を支持:東日本大震災の影響による

日本がノーベル賞・フィールズ賞受賞で中国・韓国を圧倒している歴史的背景
日本のゲームが世界で受ける理由は西洋文化との融合
日本の共働き世帯55%に、ライフスタイルも変化
日本が毅然とした行動にでられるようになった2つの理由
集団主義に向かう日本:,銀座パレード

定年延長を義務化・制度化:終身雇用の崩壊目的
グローバル化は日本のタテ型産業モデルの大きな課題
「中国化する日本」:議会民主主義はもはや限界?
日本の民主党代表選、野田首相が再選確実視される理由
日本の政局はなぜこうも混乱するのか?



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